好奇心に頭の中が支配され、気が付くとドアノブをひねっていた。
意外なほどあっさりとノブが回る。重い扉を開けて中に入った。
薄暗く、いやに湿度の高い部屋だ。
ムワッとした空気が肌にまとわりつき、壁の隅にはうっすらと水滴が光っていた。
廊下と同じく中は静まり返っており、誰もいないようだ。
一歩踏み出すと、足に何かが触れる。
足元を見ると、床には無数の透明な何かの容器が落ちていた。これはなんだろう?
しゃがみこんで、そのうちの一つに手を伸ばした瞬間、ぬるりとした液体が付着し、思わず手を引っ込める。
この液体はなんだろう。重要な研究材料が保管されている部屋だと聞いていたが、何かの薬品だろうか。
しかし、こんなに容器が散乱している所をみると何かあったのだろうか……。
ふと足元を見ると、容器に混ざって一枚の紙が落ちているのが見えた。
ところどころ汚れていて読めない箇所がある。
先程の液体が付着しているのかと思ったが、よく見るとたまたま汚れたというわけではなさそうだ。
誰かが故意に汚して暗号にしている? いや、考え過ぎだろうか。
よくわからないが、ここには誰もいないようだし、他の場所を探そう。
私は入ってきた扉から先ほどの廊下へ戻った。